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日別アーカイブ: 2026年1月22日

第28回ダクト工事雑学講座~厨房換気と補給給気—「排気だけ強い」店は必ず失敗する~

皆さんこんにちは!

株式会社湊工業、更新担当の中西です。

 

飲食店・社員食堂・給食センター——厨房は“熱・湿気・油・臭気”が同時多発する空気の激戦区です。ここでやりがちなのが「とにかく強いフードで吸えばOK!」という設計。結論、排気だけ強くすると店内は負圧地獄になります。ドアが開かない、客席がスースーする、トイレ臭が逆流する、エアコンが効かない…クレームの温床に。今回は補給給気(メイクアップエア)とセットで成立する“勝てる厨房換気”の作り方を、現場のディテールまで踏み込み解説します。‍

 

1. 厨房換気の基本思想
• 発生源で捕まえる(局所排気):フード捕集が命。面風速と捕集囲いで“逃げる湯気・油煙”を最短距離で押さえる。
• 室圧はやや負圧:客席への臭気拡散を防ぐため、厨房を-5〜-15Pa程度に。ただし過負圧はNG。
• 補給給気は“気持ちよく入れる”:排気量の80〜95%を目安に、フード近くへ弱い追い風として供給。残りは隙間から補われる程度に。️

 

2. フード設計:面風速と形状
• 面風速の目安:
o 油煙多(中華レンジ・鉄板):0.6〜0.9m/s
o 標準(IH/フライヤ):0.4〜0.6m/s
o 蒸気中心(ゆで槽):0.3〜0.5m/s
• 形状:壁付・アイランド・キャノピー。リップ(前垂れ)を十分に。カーテン効果で逃げを防ぐ。
• 整流:内部にグリスフィルタと内部整流板。フード内で乱れを殺し、排気ダクトへスムーズに。
• 局所囲い:レンジの背面・側面を設備壁で囲うと捕集性が劇的に向上。‍

 

現場メモ:フード前縁から機器前面まで300〜450mmの“吸いしろ”を確保。近すぎると動線が詰まり、遠すぎると捕まえきれない。

 

3. 排気量と補給給気量のバランス
• 排気総量=各フードの必要風量合計+ダクト損失を見てファン選定。
• 補給給気=排気の80〜95%をフード周りへ供給。残差(5〜20%)が建物の隙間や客席から穏やかに流入する設計が理想。
• 給気の“冷たさ”:直吹きは肩こりクレームの元。天井拡散や穿孔パネルで0.2〜0.4m/sに落として浴びせない。

 

4. 熱・湿気・臭気の三重苦を捌く
• 熱:調理機器の発熱は空調負荷に直結。外気冷房や熱回収を併用し、空調に“全部背負わせない”。
• 湿気:ゆで槽・食洗機は蒸気多。フードの覆いを大きく、ドレン処理を忘れず。
• 臭気:活性炭・オゾン・熱分解などの脱臭ユニットは風量・接触時間が命。焼肉・焼鳥は特に慎重に。

 

5. ダクト・ファン:油と音に強く
• ダクト:油滴の流れ方向に勾配(1/100〜1/50)。ドレンピットや清掃口をコーナーごとに。
• ファン:後ろ向き羽根+耐熱・耐油仕様。電動シャッターで逆流防止。
• サイレンサ:厨房は騒がしいが、客席側への透過音はNG。機械室側で吸音し、ダクトは厚め板で剛性確保。

 

6. 空調との連携(ここが決め手)
• 厨房専用の換気は空調と別系統に。
• 客席→厨房の圧力勾配を維持しつつ、客席の正圧を薄く保つ。
• 季節運用:夏は補給給気をやや多め(体感温度↑)、冬はやや少なめ(冷風感↓)。⚖️

 

7. 防火・衛生(法規と現実の橋渡し)
• 防火ダンパ/防炎材:区画貫通・天蓋回りは点検口をセットで設計。
• グリス清掃:月次点検と半年〜年1のフード・ダクト洗浄。写真記録で保険・点検対応を盤石に。

 

8. ありがちトラブルと対策
• ドアが開かない:過負圧。→ 補給給気増、客席からの誘導ルート整備。
• 客席が寒い/暑い:直吹き。→ 穿孔パネル・テキスタイルダクトで拡散。
• 油だまり・垂れ:勾配不足。→ 勾配是正・ドレン追加。
• 臭いが近隣へ:排気フードの位置・高さ不足。→ 屋根より高く、隣家開口から離隔、脱臭ユニット強化。

 

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まとめ
厨房は補給給気とワンセットで設計する。フードの“囲い”と“面風速”、給気の“そよ風感”、圧力勾配の“薄い負圧”。この三点が揃えば、涼しく静かでニオわない厨房が実現します。次回は“工場・作業場の局所排気”。法令と実務をつなぐフード設計と風量算定を徹底解説します。

 

 

 

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