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月別アーカイブ: 2026年1月

第29回ダクト工事雑学講座~工場・作業場の局所排気—フードで捕まえ、作業者を守る~

皆さんこんにちは!

株式会社湊工業、更新担当の中西です。

 

溶剤・粉じん・ヒューム・熱…工場や研究室では、発生源で捕集する局所排気が空気衛生の基本です。室全体換気だけでは希釈に時間がかかり、作業者の呼吸域に残留してしまう。今回は、フードの種類と配置、必要風量の求め方、ダクト設計・騒音・省エネまで“現場が回る”実務の要点をまとめます。🧪

 

1. フードのタイプと使い分け
• 囲い式フード(Enclosing Hood):最強。密閉に近いほど必要風量が小さく、捕集率が高い。薬品槽の上蓋やグローブボックス等。
• 外付け式フード(Exterior Hood):囲いが難しい大物・移動体に。捕集距離と捕集速度が鍵。
• スロットフード:長手方向のスリットで均一吸引。作業台・ベルトコンベヤ沿いに有効。
• 可動フード/局所アーム:作業点に寄せられるのが強み。誤って作業者の顔から吸う配置にしない。🤖

 

2. 捕集速度(Capture Velocity)の考え方
対象物に応じた捕集速度(m/s)の目安を決め、吸込口からの距離で必要風量を逆算します。
– 軽い蒸気/臭気:0.25〜0.5
– 粉じん・ヒューム:0.5〜1.0
– 活発な発生(スパッタ等):1.0〜2.5
簡易式(外付け丸口)例:V = Q / (10x² + A) のような“距離減衰”モデルを使い、作業点距離xでQ(m³/min)を見積もる。※現場では安全側に余裕を持つ。🧮

 

3. 風量算定の実務ステップ
1) 発生源の性状(蒸気?粉?温度?毒性?)を整理
2) 捕集速度の目標を決定
3) 作業点距離と吸込開口の形状・面積を決める
4) 必要風量Qを算定
5) ダクト径を決め、圧力損失(直管+継手+フィルタ+サイレンサ)を計算
6) ファン選定と騒音・振動の対策を併せて検討
7) 排気処理(濃度・温湿度・臭い)を周辺環境に適合させる🌱

 

4. ダクト設計と“粉じん・凝縮”の罠
• 自重堆積を防ぐため、粉体ラインは縦配管&掃除口を多めに。
• 蒸気・溶剤は凝縮→ドレンが溜まる。勾配1/100とトラップで戻り・臭気を防止。
• 材質:腐食性ガスは耐食ライニング、静電気リスクは導電材・接地。⚡

 

5. 騒音・振動対策(作業環境の快適さ)
• サイレンサ+低騒音ファンでNC-60以下を目標(周囲条件次第)。
• 吸込口での急激な絞りを避け、吸込直管長を確保。
• 防振ゴム/バネ+キャンバスで機器をアイソレーション。🔇

 

6. 省エネ・自動制御
• デマンド制御:在席・運転信号と連動し、使う時だけ吸う。
• VAV:複数フードの同時使用率を考慮し、差圧一定制御で安定化。
• 熱回収:外気負荷が大きい場合は顕熱回収+バイパスで冬季の過乾燥も抑制。📉

 

7. 法令・測定・記録(守りを固める)
• 測定:面風速、ダクト風速、微差圧、騒音。引渡し時と定期で記録。
• 標識・教育:フードの適正位置、交換部材の型式、緊急時の停止手順を現場に掲示。
• 保守:フィルタ交換、堆積粉の除去、ベルトテンション。月次点検で“効かなくなる前”に手を打つ。🛡️

 

8. ケーススタディ(失敗から学ぶ)
• ケースA:吸いが弱い→ スロットが均一でない。内部整流板を追加、吸込直管を確保。
• ケースB:周囲へ拡散→ 捕集距離が長い。アームを近づけるor囲い化。
• ケースC:臭い戻り→ 排気が屋上で渦に巻き込まれ再侵入。排気筒高さと風向を再設計。🌪️

 

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まとめ
局所排気は“近くで少なく”が正義。フードを作業に寄せ、捕集速度を確保し、ダクトは詰まらせず、ファンは静かに賢く回す。これが作業者を守り、生産性も守る最短ルートです。次回は“病院・福祉施設の換気”。陰圧/陽圧と清潔ゾーニングの設計術を、わかりやすく解説します。🏥🧼

 

 

 

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第28回ダクト工事雑学講座~厨房換気と補給給気—「排気だけ強い」店は必ず失敗する~

皆さんこんにちは!

株式会社湊工業、更新担当の中西です。

 

飲食店・社員食堂・給食センター——厨房は“熱・湿気・油・臭気”が同時多発する空気の激戦区です。ここでやりがちなのが「とにかく強いフードで吸えばOK!」という設計。結論、排気だけ強くすると店内は負圧地獄になります。ドアが開かない、客席がスースーする、トイレ臭が逆流する、エアコンが効かない…クレームの温床に。今回は補給給気(メイクアップエア)とセットで成立する“勝てる厨房換気”の作り方を、現場のディテールまで踏み込み解説します。‍

 

1. 厨房換気の基本思想
• 発生源で捕まえる(局所排気):フード捕集が命。面風速と捕集囲いで“逃げる湯気・油煙”を最短距離で押さえる。
• 室圧はやや負圧:客席への臭気拡散を防ぐため、厨房を-5〜-15Pa程度に。ただし過負圧はNG。
• 補給給気は“気持ちよく入れる”:排気量の80〜95%を目安に、フード近くへ弱い追い風として供給。残りは隙間から補われる程度に。️

 

2. フード設計:面風速と形状
• 面風速の目安:
o 油煙多(中華レンジ・鉄板):0.6〜0.9m/s
o 標準(IH/フライヤ):0.4〜0.6m/s
o 蒸気中心(ゆで槽):0.3〜0.5m/s
• 形状:壁付・アイランド・キャノピー。リップ(前垂れ)を十分に。カーテン効果で逃げを防ぐ。
• 整流:内部にグリスフィルタと内部整流板。フード内で乱れを殺し、排気ダクトへスムーズに。
• 局所囲い:レンジの背面・側面を設備壁で囲うと捕集性が劇的に向上。‍

 

現場メモ:フード前縁から機器前面まで300〜450mmの“吸いしろ”を確保。近すぎると動線が詰まり、遠すぎると捕まえきれない。

 

3. 排気量と補給給気量のバランス
• 排気総量=各フードの必要風量合計+ダクト損失を見てファン選定。
• 補給給気=排気の80〜95%をフード周りへ供給。残差(5〜20%)が建物の隙間や客席から穏やかに流入する設計が理想。
• 給気の“冷たさ”:直吹きは肩こりクレームの元。天井拡散や穿孔パネルで0.2〜0.4m/sに落として浴びせない。

 

4. 熱・湿気・臭気の三重苦を捌く
• 熱:調理機器の発熱は空調負荷に直結。外気冷房や熱回収を併用し、空調に“全部背負わせない”。
• 湿気:ゆで槽・食洗機は蒸気多。フードの覆いを大きく、ドレン処理を忘れず。
• 臭気:活性炭・オゾン・熱分解などの脱臭ユニットは風量・接触時間が命。焼肉・焼鳥は特に慎重に。

 

5. ダクト・ファン:油と音に強く
• ダクト:油滴の流れ方向に勾配(1/100〜1/50)。ドレンピットや清掃口をコーナーごとに。
• ファン:後ろ向き羽根+耐熱・耐油仕様。電動シャッターで逆流防止。
• サイレンサ:厨房は騒がしいが、客席側への透過音はNG。機械室側で吸音し、ダクトは厚め板で剛性確保。

 

6. 空調との連携(ここが決め手)
• 厨房専用の換気は空調と別系統に。
• 客席→厨房の圧力勾配を維持しつつ、客席の正圧を薄く保つ。
• 季節運用:夏は補給給気をやや多め(体感温度↑)、冬はやや少なめ(冷風感↓)。⚖️

 

7. 防火・衛生(法規と現実の橋渡し)
• 防火ダンパ/防炎材:区画貫通・天蓋回りは点検口をセットで設計。
• グリス清掃:月次点検と半年〜年1のフード・ダクト洗浄。写真記録で保険・点検対応を盤石に。

 

8. ありがちトラブルと対策
• ドアが開かない:過負圧。→ 補給給気増、客席からの誘導ルート整備。
• 客席が寒い/暑い:直吹き。→ 穿孔パネル・テキスタイルダクトで拡散。
• 油だまり・垂れ:勾配不足。→ 勾配是正・ドレン追加。
• 臭いが近隣へ:排気フードの位置・高さ不足。→ 屋根より高く、隣家開口から離隔、脱臭ユニット強化。

 

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まとめ
厨房は補給給気とワンセットで設計する。フードの“囲い”と“面風速”、給気の“そよ風感”、圧力勾配の“薄い負圧”。この三点が揃えば、涼しく静かでニオわない厨房が実現します。次回は“工場・作業場の局所排気”。法令と実務をつなぐフード設計と風量算定を徹底解説します。

 

 

 

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第27回ダクト工事雑学講座~住宅の24時間換気・運用のコツ—静かに、賢く、長く使うために~

皆さんこんにちは!

株式会社湊工業、更新担当の中西です。

 

住宅の換気は“気持ちよさ”が命。数値だけでなく寝室の静けさ・浴室の乾き・台所のニオイといった体感を、毎日ブレずに支える必要があります。ここでは第1種/第3種の選び方、レイアウト、季節の運用、花粉・PM対策、メンテの勘所を、住まい手目線でわかりやすく解説します。

 

1. 方式の選び方(第1種 vs 第3種)
• 第1種(給排機械+熱交換):冬の乾燥と夏の蒸し暑さを緩和。高気密住宅や寒冷地で人気。初期費用は増えるが、快適性と省エネのリターンが大きい。
• 第3種(排気機械+自然給気):シンプルで導入しやすい。給気口の位置・数と隙間風のコントロールがカギ。
住まい手ヒント:寝室は特に静音性が重要。ファンは離し、ダクトで“距離を吸音材にする”発想を。

 

2. レイアウトの基本(通り道を描く)
• 給気:リビング・寝室など“清浄ゾーン”へ。
• 排気:トイレ・洗面・浴室・クローゼットなど“汚染ゾーン”から。
• 動線:ドアアンダーカット(10〜15mm)やガラリで部屋間の通気を確保。
• ショートサーキット回避:同室内で給気口と排気口を近づけない。対角線配置や高さ差で室を横断。

 

3. 静音の作法(“離す・遅くする・広げる”)
• 離す:寝室の近くにファンを置かない。屋外設置は防振と雨仕舞を厳密に。
• 遅くする:常時は弱風量で連続。在室やCO₂で一時的に強へ。
• 広げる:末端の吹出口サイズUPで風速低減、ドラフト感を抑制。

 

4. 冬の乾燥・結露対策 ❄️
• 乾燥:第1種+全熱交換は湿度低下を緩和。さらに加湿器を併用し、40〜50%を目標。
• 結露:窓周りで起きやすい。局所的に風を当てない、カーテンで“風の壁”を作らない。
• ドレン:熱交換器の霜取りや結露水は確実な勾配+封水で臭気逆流を防ぐ。

 

5. 夏の蒸し暑さ・熱対策 ☀️
• 夜間外気が涼しい地域はバイパス運転で熱回収を切り、外気冷房の効果を得る。
• 直射日光が当たる屋外配管は断熱強化。屋根裏は高温→防露も兼ねて厚めに。
• 台風時は逆流・逆回転対策(逆止弁、停電復帰後のソフトスタート)を確認。

 

6. 花粉・PM2.5・臭気対策
• 中性能フィルタ(MERV 8〜13相当)を給気側に。目詰まりに備え差圧計を。
• 活性炭フィルタで臭気を軽減。
• 窓開放との併用:花粉時期は窓小開+機械換気強で室内濃度を抑える。

 

7. お手入れ・メンテ周期
• フィルタ清掃:1〜3か月に一度(環境で調整)。花粉期は短縮。
• 交換:1年目は“試験的に短め”にして自宅の汚れ方を把握、その後最適化。
• 給気口:外部フードの虫・落葉を季節ごとに点検。
• ダクト:住宅では全面洗浄は稀だが、厨房近傍は油汚れをチェック。

 

8. キッチン・浴室との連携
• レンジフードは個別強排が基本。第1種の給気量が負けると家全体が負圧になり、玄関から外気のスースー現象。→ 補給給気の導入、レンジフード同時運転時の一時増風で対応。
• 浴室乾燥機は換気ルートを奪わないよう系統分け。ドアガラリの開口を確認。

 

9. 高気密高断熱住宅の勘所(C値とバランス)
• C値(隙間相当面積)が小さいほど計画換気が設計通りに効く。C値の実測と換気測定をセットで行い、給排気バランスを調整。
• 差圧は±2〜5Paを目安に。過剰負圧は給気口からのヒューヒュー音の原因。

 

10. ユーザー向け“運用チートシート”
• 常時は止めない(弱でOK)。
• CO₂モニタをリビングに。800ppm前後を目標。
• フィルタ清掃の曜日を決める(例:毎月第1土曜)。
• 窓開けは“換気の代わり”ではない—“+αのリフレッシュ”。
• 音が大きくなったら→ フィルタ詰まり+風速上がりを疑う。

 

11. ありがちトラブルと対策
• ニオイが抜けない→ 給気・排気の位置関係を見直し、ショートサーキットを解消。
• 冬に乾燥がつらい→ 熱交換を全熱型に、加湿器併用。
• 結露で窓回りが黒い→ 風の当て方・カーテン配置・室内湿度の見直し。
• 音が気になる→ 末端サイズUP、ファンの弱運転、ダクトの直線化で改善。

 

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まとめ
住宅の換気は“静けさ・省エネ・手入れの容易さ”の三位一体。止めない・詰まらせない・負けさせないを合言葉に、日々の体感を底上げしましょう。次回は厨房換気と補給給気。お店も家庭も“排気だけ強い”落とし穴を避ける設計・施工・運用の知恵を、実例で深掘りします。‍

 

 

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